栗駒山は宮城秋田岩手の県境となる山で、鳥海山は秋田と山形の県境になっている山だ。なので道を変えれば登る方と降る方の県が異なる。
去年のまぁ大体今頃鳥海山には登っている。その時は天気が悪くてイマイチだったけど。
山形の北部には知り合いもいる。会いに行くことにした。
6/11 6:30 起床
自然と目が覚めてしまう。ゴリ健康。
共同の洗面所で顔を洗い、身支度。既に起きていた会社の人と軽く挨拶。そう、俺は事務所の上に住んでいるのだ。そして昨日はホルモンをご馳走になった。
「へっへっへ、あばよぉぉおおお」
バーカバーカと誰に向けられた悪口ではなく、快晴な青空に吐く。
さっそく山道。よく日本の川は流れが急であり、距離が短いと言われるが東北に来てなおさらそう思った。
地図を見ても分かるだろう。
山道を走っていて少し不安なのがガソリン。入れるところがそれはそれは少なく、そして高い。イメージ的に無名のガソスタにババアが昼間から暇してるような、胡散臭いのが多い。
途中寄ったダムの水と景色が綺麗で立ち往生。なんとなくだけどこれは東北でしか見られないんじゃないだろうか。まぁ西日本自体あんま行ったことないから分からんけど。
何気ない景色でもほんと綺麗なんだ。
9:30 田沢湖
田沢湖。ウユニ塩湖のように表裏一体だった。
あまり意識はしていなかったが実はここは日本一水深が深い湖らしい。その深さ423.4m。湖の周りにも店が並んでいたりキャンプ場があるみたいだからまた行ってみたいと思った。
田園風景を抜ける。
少し自慢も兼ね軽々説明すると最近の俺の距離感はバグっていると思う。100km先はもはや近所。
栗駒山に着いた時の時刻は12:30ぐらい。
7:00に出発して寄り道したとしても3〜4時間は下道を走っていたことになる。ほぼほぼノンストップ。ぶっちゃけ景色も写真パシャリで終わってしまうし、コンビニでトイレと缶コーヒーを済ませる程度。ひたすらに走っている。
秋田岩手山形を結ぶ栗駒山はと言うとよく分からなかった。というのも山の範囲が広すぎてイマイチどこに行けばいいのか分からない。
適当に止まったところが日帰り温泉をやっていたため急遽温泉へ。
(俺別に温泉入りたい!って気分じゃねぇんだよなぁ…まぁいいんだけど)
栗駒山の温泉はガチ温泉であり源泉掛け流しらしい。あと温泉特有のヌメりがちゃんとあった。
(あぁぁぁ…)
露天風呂に浸かり山を一望。考えに耽るほどの考えを持たずにクリアなのでぼけっとして出た。
16:00 とある道の駅
山形のダチに会いに。
(そういや昼飯食べてねぇな…)
急遽道の駅に寄る。ここで衝撃の事実を知る。
(あれ、俺前にここ来てね……?)
一年前の世界線。ドンピシャだった。適当にふらっとたどり着いた道の駅に去年も来て、同じものを食べている。
変わらねえなと自分に相槌を打ちバイクを走らせた。
17:30 ダチの家
「でさ、こういうことあったんよwwww」
一方的に話す。コイツはいい奴だ。わざわざ俺のためにビールを用意してくれて、尚且つ食べるものを作ってくれた。
ケースで売られている缶ビール6本のうち5本をもらって気分良く話す俺と相槌を打ちながらつまみを作ってくれるダチ。ほんとサンキュー。
俺なんかより5兆倍幸せになってくれ。そういう世界になってくれ。
二人で散歩して俺の提案でスタバに寄った時はこれまた奢ってくれた。ここまで来るとなんか悪者みたいに思えてくる。泥水を啜りながら生きてきた人間と今日の湖のような透明さを有したダチ。その交わりはどこから生まれたんだろうな。ヒールの役割は担うよ。
類は友を呼ぶ理論だと俺もいい奴なのか。まぁどーでもいいんだけど。24時過ぎくらいに寝た。
12日 8:00 起床
「わっち、コーヒー飲みてぇ」
クソわがままな要望通りにコーヒーが出てくる。流石に俺にも人の気持ちがあるのでそろそろ出発することにした。これ以上の長居は胸が痛い。
9:15 羽黒山
別れを告げて近くの羽黒山へ。
山形は前に行った「山寺」と今回行った「羽黒山」の2つが名スポットだと思う。
圧倒的歴史。力強さを感じる。
邪悪な人間がいてはいけない雰囲気。さっさと帰りたくなった。
よく雑誌に載っているような五重のやつは入口付近にあったのでそれを軽く見て帰った。
その先は羽黒山の名前通り山を登るらしい。
所要時間は30分ほどだった。
11:00 道の駅 ふらっと
職場の人に教えてもらった。牡蠣が美味しいらしい。
これで800円。確かに美味しかった。
…がわずか6秒ほどで溶けた。
12:30 鳥海山
一年前の世界線をくっきりと思い出す。
蕎麦を食べて缶コーヒーを飲んで、下界を見下ろした。旅の目的はこれで果たした。
集団のバイカーに雑談を振られるも一言二言返し下山した。集団は嫌いなんだ。
13:30 とある道の駅
ここも一年前の世界線。全く一緒。
海に黄昏てカキ氷を黙々と食べる。一人が染み付いていることをことごとく思う。目の前のことを生きるしかない。
ヘルメットから聞こえるyoutubeの雑談を聞きながらまた温泉。秋田駅の付近だったもんだから人が多かった。さっと上がった。
17:00〜
日の暮れる前に帰りたい。田舎道を駆け抜けて知っている道に出る。こんなとこを走るのも人生でこれだけなんだろう。
仕事上来ただけで秋田なんて場所にわざわざプライベートで来るわけない。一つ一つが一瞬で、夏の夜の懐かしさのようにエモーショナルを感じながら帰路に着いた。