04/29 8:00 金沢の快活クラブ
「もーそろそろ着くわ」
ダチからLINE。富山に10時だったはずなのに圧倒的に早い。
どう急いでもあと1時間半はかかるだろう。やれやれとバイクを走らせた。
今日の不安点は午後から雨が降るらしい。それもかなり強い雨。
ダチとは今日1日は捨てて明日楽しもうと決めていた。
10:00 富山駅
「うぃーす」
ローソンで合流。コンビニの駐車場で行き先を決める。
山にバイクで登ることにした。前後に並ぶ。
今回の旅は二人でインカムを繋ぎ、走行中も話すことが出来た。
「わろたwwwwww」
「この景色ヤバくね!?」
くだらない話をする。
曇天が空を包み、雨の気配がする。急がないとまずい。
「あぁぁぁぁ!」
坂をバイクで駆ける。段々と霧が深くなる。
駐車場に車を停めたころ、辺りは完璧に霧で包まれていた。
結局自然災害で先にも進めず、景色も見れずだった。
そして、麓にバイクを停めたころ、、、、
雨に完璧降られてしまった。
当初の予定では新潟まで行く予定だった。
だがしかし、誇張するわけでもなく、台風に近い暴風雨が俺たちを襲う。大航海の嵐。暴風と大雨で生身の身体とバイクが走行中に倒れそうになる。危険だった。
残り80kmちょい。精神が折れそうだった。
「これさすがにヤバくね」
避難したヤマダ電機の軒下で作戦会議。急遽今日は諦め、10km先の宿に行くことにした。
14:15 宿
「チェックイン15時だけど入れるかな?」
「さすがにずぶ濡れの俺ら見たら入れてくれるだろ」
「チェックインは15時からだよ」俺たちは死んだ。
当然傘なんて持っているわけない。ずぶ濡れになりながら近くの駅に避難する。
髪も服もびちゃびちゃ、靴のなかには水たまりができているであろう。不快感がMAXだった。服も濡れているので店にも入れない。
駅舎の裏のくぼみに二人息を潜めた。
15:00 宿
圧倒的カイジ。生きていることを実感した。
そのあとは何をしたんだろうな。あんまり覚えていない。
4/30 6:30 起床
宿の朝食を食べて外へ。昨日とは打って変わって快晴だった。
「最高ぉぉぉぉおおお!」
黒部峡谷に向けて最速で走る。鬱憤を晴らすように。
これだよこれ。この景色を待っていたんだ。
快晴の空に青々とした森。下には綺麗な川と線路。いい景色だった。線路には電車が走っていた。
9:30 ヒスイ海岸
ここはヒスイという石が海岸でよく拾えるらしい。
海岸には私利私欲をむき出しにした観光客で覆われていた。
それにしてもいい天気だ。昔からのダチと2人揃ってアクセルを捻る感覚。最高だ。
道の駅で休憩をして、走る。車の方が楽なのにバイクに乗る理由ってなんなんだろうな。バイカーに聞いてみたい。
白馬を横断し、上高地に着く。よく旅行雑誌で見る上高地の景色は、観光地手前の駐車場で車を停め、そこからバスで行かなければならないらしい。
道に入ろうとすると、でかでかとした看板と警備員に止められた。
ダチに申し訳なくなった。
「いや!絶対上高地やべぇから!!!」と適当なことをいった結果なのだから。
17:30 宿
「あぁぁ!!」
ベッドにダイブ。ずっと走りっぱなしだったので疲れた。
風呂に入り、30分だけ寝ようと寝る。
まぁ案の定1~2時間くらい寝た。といっても俺は起きたが。
焼肉に行って宅飲みをして寝た。
5/1 7:00 起床
今日地元に帰る予定。そしてまた午後からは雨。
今回は全体を通してGWの天気が悪い。
松本を出発して、ずっと下道で神奈川まで。その距離220km。
諏訪を通り、甲府を通り、相模原を通り地元に帰っていく。
諏訪を通ったときには約2年前の世界線を辿ったようで地味に感動した。
ブログにでも度々出てくる俺のダチとはホントに色々なとこに行ったと思う。俺はまめな性格なのでコイツと旅行をするたびにLINEのアルバムを作成しているのだが、まるで仲のよい女子みたいにアルバムがスクロールするくらいにはある。
大学生の有り余る体力とノリに身を任せてゲラゲラ笑っていた。
インカムで通話する傍ら音楽を聴いていた(ラジオみたいな感じ)。
ちょうど例の如くcryamyが流れたときにグッときてしまい、前を走るダチに総集編のように感謝してしまった。
「どこで暮らしたって どうなってしまったって あなたって素敵ですね」
「それでもいいとか マジで思えるのは あなたがいるのが嬉しいからだ あなたといられて嬉しいからだ」
社会人になってからというもの、コミュニケーションを欲しているというか誰かと適当に話したい欲が出てきたような気がする。まぁ変な奴といるくらいなら一人でいた方がいいんだけど。
よくおじいちゃんとかが「俺が若いころはなぁ、、、」と回想シーンを話したり、そこそこ偉いポジのおっさんがキャバクラで仕事のことを語るように(偏見)誰かに自分のことを話す機会は歳を食うごとに少なくなっていくのだろう。
学生の頃は学校に行けば誰かしらいたし、そもそも学校がプライベートの延長線。仕事とプライベートの2面性がないのでそんなことを感じることはなかったように思える。
12:00頃に神奈川に入ったときは完全に雨に降られた。またびっちょびちょ。勘弁してくれ。
途中でダチと別れ、帰路に着いた。
その日は家族で飯を食べて酒を飲んだ。
5/2 藤沢から横浜へ
俺は止まらない。家を出てまずは江の島に向かう。
渋滞。そうだ世間はGWだった。
俺も含めだけどなんで人は江の島に向かうんだろうな。俺はバイカーのなかでも健全ですり抜けもしたことがないので、ちゃんと渋滞のなか車のように並んでいたのは俺だけの気がした。
着いて写真だけ撮ってスポドリを飲み干した。
次は横浜。横浜に向かう道中にダチの家付近を通ることに気付き急遽電話。
遊んでるから会えないということだったが、まぁ声だけでも聞けてよかった。
みなとみらいを通過。人の行列が出来ているのを横目に滑走するのは気分が良かった。
桜木町には昔好きだった子が住んでいるので心が躍った。というか神奈川の各地で女との思い出ありすぎわろた。その人もバイカーでありバイクを教えてくれた人だ。
久々の横浜。ダチが終わるまで一人飲み。
「終わったー」とLINEが来て合流。
飯は何を食べたんだろう。あまり覚えていない。
5/3 横浜から千葉へ
この日は横浜から千葉のダチに会いに行く予定。
ダチと別れ、また違うダチに会いに千葉にバイクを走らせる。
天気は快晴。バイクでダチに会いに行くって滅茶苦茶ロマンティックじゃないですか?
着くもバイクをどこに停めるか迷う。ダチもダチでバイクで来た奴がいないのか止める場所を探すのにてこずっていた。
トリキに行った。めちゃくちゃ久しぶりに。
皮タレと金麦で優勝。この千葉のダチは院まで進み、就活をしている。
俺は浪人したので院まで行くとストレートに卒業した奴に比べて3年も遅く社会に出ることになる。つかよくもまぁ6年間も勉強できるよ。まぁ業種によると院までが普通のところもあるし就活は難しい。こころなしか就活で疲れているようにも感じた。
トリキのあとはカラオケに行き、たこ焼きを買って家で宅飲みをした。
5/4 千葉から埼玉へ
起床とともに珈琲を貰い、少し語らったあと船橋へ。そう、東北に行く前に行くところがある。その名も・・・痴漢電車。
「俺痴漢しに行っから!!!」とバイクをふかし出発する後ろ姿を見送ったダチはどんな気分だったんだろうな。とは言いつつも自分の周りにこんなアホみたいな奴がいると安心しません?真面目に生きすぎだよみんな。知らないけど。
クソみたいな晴天と賑わっている街中のなかアンダーグラウンド。リサーチ不足によりホテヘルだったことが発覚した。あのラブホを出た後の日常にゾワっと戻る感じってなんなんだろうな。太陽が痛かった。
しかもまぁそのあと埼玉の祖父母の家に行くもんだから我ながら馬鹿だと思ったよ。
ザリガニを取ってはしゃいでた少年が、仙台から大阪までバイクで行き風俗帰りで祖父母の家まで行くとは。
しかもこの日はいとこも来ておりなかなかの賑わいだった。
いとこは小学5年生なのだが一言で言うと、「こどものエネルギー」はすげぇ。まさに主役というかなんというか。もう家族の中心というか。
質問攻めにビールを飲みながら答え、23時過ぎぐらいに寝た。
なんとなくだけど家族友達に会うほどまだ疲れていないらしい。
5/5 埼玉から仙台へ
朝起きて缶コーヒーを飲みながら日向ぼっこ。
そのあとは散歩をした。
バイクは基本厚着なので結構汗をかいてしまった。東北と比べてやはり湿気が多いのかもしれない。
挨拶をして仙台へ。
埼玉スタジアムに寄る。
大学が埼玉だったので埼玉には少し思い出がある。大学前までバイクで行ってふかしてやろうかとも思ったがそこまで暇じゃない。
大学での思い出ってなんなんだろうな。でもまぁいい思い出が多い気がする。大学の誰に会いたいって言われても特に何もないんだけど。
下道で栃木の真ん中まで行き、そこから高速に乗った。
仙台に着いたらいつもの女さん。家に泊まった。
5/6
今日はまた女さんとドライブ。つか書いてて思ったけど女さんとつるみ過ぎわろた。
その日は山形まで走り適当な道の駅へ。帰りは蔵王と呼ばれる山形と宮城の県境を走った。
雪の回廊と呼ばれるこの道は両サイドに雪が高く盛り上げられていた。そして空気が晴れているわりにひんやりとしていた。この景色は東北ならではだと思う。
というか、東北に来るまで山頂の雪がまだ残っているという現状さえも知らなかった。よくもまぁすごい土地だよ。
なんだかんだ俺は人に何かをしたり、あげたりするのが好きだから好きな女というか人には(別に同性)結構色々面倒をみてしまう。
車を返したあとは2件ほどハシゴをして家に泊まった。
5/7
幻の15連休も今日明日の土日で終わってしまう。
何をしていたかイマイチ覚えてないけど家でグダグダ過ごし、夜はハルカミライのライブ。
ホールのライブってのは案外初めてで新鮮な気がした。というかせっかくのホールなんだから座って聞けばいいものをライブが始まると同時に次々と立ち上がる観客達。武道館でも同じことを思ったことがある。
肝心のライブはやはり楽しかった。…がハルカミライの曲である程度知っているのは、昔の曲であり最近の曲はあまり知らない。そして演奏されたのは最新アルバムの曲がほとんどであまり知らなかった。
それでもまぁ楽しかったけど。
5/8 最終日
正直なところもうそろそろ働きたくなっていた。どうやらグダグダする休みは半月ほどでいいらしい。
秋田に行く気持ちも固まった。まぁそんな大袈裟なことでもなく普通に行くだけ。別にどこだって生きていける。
今回メインだった俺は俺を取り戻す旅で得られた「迷うな進め」というキーワードはしばらく俺のなかで流行語になりそうだ。悩むのはもうしばらく先でいい。
どこで何をしていたって家族やら友達やらも別に変わらないし、俺も変わらない。
そんなことをこの15連休に見出して、最後女さんに「風邪とかまぁ、引かないように」と扉を閉めて深夜の道を帰った俺ってめちゃくちゃ主人公じゃないですか?