【番外編】結婚について

 

ーーー俺はいつから野良じゃなくなったんだろう

 

2024年2月を以て入籍した。

 

2023/10月

「辛い」

こんなストレートな言葉じゃなくても、それに近い言葉を言われたのは昨年の10月頃のことで、ちょうど付き合い出してから約一年のことだった。

 

新車で買った車の走行距離は1年で4万キロになっていた。世間的に言う遠距離だったので、毎週末には片道300kmと3時間をかけて会いに行っていた。数字は重みを有しているが、個人的にはそれを苦だと思ったことはなかった。しかしまぁ自分が思うより、相手側はずっとキツかったことがそこで分かった。

 

その瞬間がターニングポイントだったと今になって思う。その言葉を聞いた瞬間、じゃあ結婚しようと即座に思った。

 

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俺は悟空だったのかもしれない。

一番は相手を安心させてあげること。後先は考えなかった。それからプロポーズ大作戦が始まった。

 

 

暇な時間を見つけてはネットをググり、プロポーズや指輪などを調べる。気付けばインスタの広告はブライダル関連になっていた。

仕事も忙しい。マジで満身創痍。週末になれば片道300kmを走って2日休み、また300kmを走って帰っていた。

 

 

毎週末は先週と比べて、より具体的な答えを出す必要があった。何しろタイムリミットがあったから。職種はお互い全国転勤であり、向こうの転勤時期を考慮すると、来年度転勤のようだった。早く答えを見つけなくてはいけなかった。

 

 

動き出してから1ヶ月強。とりあえずプロポーズクリア。クソ田舎に幽閉されていたので準備もロクに出来ず、前日のギリギリまで時間がかかってしまった。

 

 

婚約指輪は2人で買いに行った。今は婚約指輪と結婚指輪を同じにする人も多いらしい。

「どれがいいかなぁ?」

「新郎さんはどう思います?」

彼女と店員の疑問に詰められ、いま一つデザインの違いが分からないキラキラした指輪達に苦しめられる。俺はビールとスルメが好きだ。

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2023/12月

続いて親への報告。これが正味ダルかった。

互いに全国転勤なので、どちらかが仕事を辞めて転勤先に合わせて生活するのがベターだと思えた。辞めた後の転職先、どこに住むか、金額面、将来に具体性をより一層持たせる必要があった。親の立場として、相手を背負っていく立場として、やんわりした答えは許されない。しかしそんなすぐに決められるものではない。それなりに考えた答えでも総スカンを喰らった。親にあれだけ言われたのは初めてだったかも知れない。

 

 

一緒に付いていくという相手側の想いを汲み取るも、どちらかが辞めなくてはいけない。しかしまぁ親からしてみれば仕事を辞めるというのは不安が先立ち、それは止めろと言う。個人的には別に仕事を辞めずしても一年くらいは夫婦という関係性で様子を見てもいいと思ったのだが、正直板挟みを喰らっていた。「彼女がこう言ってるから〜〜〜」とか「親がこう言ってるから〜〜〜」と言うニュアンスで相手を盾に話すのもダサいと思ったので、あくまでも自身の意見という話し方をしていた。

 

 

親へのケアと彼女のケア、相手側の親へのケア。自身の出す答えで全てが決まってしまう。プレッシャー。2人で話し合って決めるのはある意味建前であり、最終的には男が引っ張っていかなくてはならない。皆を安心させるためにも頑張り続けた。結局の所、皆に喜んで欲しかった。

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答え探しと並行して年末の挨拶の日付が決まりカチコミ。パッションで乗り切った。

 

 

2024/1月

挨拶クリア。この頃になると親の方も後は2人に任せるというムーブになり、やんわりし始めていた。時間をかけることが大事だった。

 

 

男なら誰もが通る道。自分が挨拶に行っている時も、挨拶に来ている時も、親父達も昔はこうだったんだなぁと勝手に思った。俺以上に実は親達の方がソワソワしていたのかもしれない。

 

 

女性と男性では結婚に対して意識が違う。特に女性の熱量。先を急ぎ、答えを求めたがる。男性はそれに相槌を打ちながらも面倒を見てあげないといけない。両家顔合わせの日付が決まり、長かった戦いももうすぐ終わりが見えた。

 

 

「ーーー最後に何か言えよ」

 

顔合わせもやはり男である俺がメイン。親父に振られ最後に締めの挨拶。無事両家顔合わせクリア。店で12万ほど飛んだ。

 

その後ウチの家族だけで2次会。家族で外食をしたのも家族写真を撮ったのも10年振りだった。

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2024年/2月

役所の手続きにイライラしながらも入籍。

同日指輪も取りに行き装着。わりと気に行っている。住所変更やマイナンバー、各所の個人情報の変更を進め、会社にも報告。

この先の行方は分からないけど、ひと段落着いたのでのんびりと答えを出していきたいと思う。

 

 

とりあえずみんなが喜んでくれて良かった。それが一番だった。家族も相手側も友達も会社の人たちも、そして彼女本人も。

俺の気持ちなんてものはそのあとに付いてくる。昔と違い、今は相手の気持ちのその先に自身の気持ちがあるような気がする。

 

式に関しては、まだ決まってないけど挙げたいと思う。挙げることを通じて世話になった人達に会いたい。こういう機会でしか、もう会えることもなかなかないだろうから。あと何回会えるんだろう。

 

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結婚を通じて10年ぶりに家族で外食と写真撮影をした。ガキの頃はその価値が分からなくて、時には恥ずかしくて、淡々と終わってしまったことに正直今は少し後悔している。だから今回、そういう機会が得られたのは大きく意味があったと思う。

 

ガタガタ抜かしても所詮は俺。ただの人。1以上には慣れないし、小数点が付くことを厭わない。誰かにとって、自分のできることはしてあげたい。そんなふうに思えるように、紡げるようになったのは、今いる人がいてくれたからだよ。

 

フットワークが昔より重くなっていくことは寂しいけれど、また会いに行く。各位26年生きてきたなかでお世話になりました。一人じゃなく、これからは二人で生きていくよ。

 

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俺はいつから野良じゃなくなったんだろう。