2021/06-26 奥松島ツーリング

6:00 朝帰り

「朝帰りとか、俺もう今年で24だぞ、、、、」

工事関係者や物流しかいないある意味ガヤついたアーケード街の真ん中を、缶コーヒーをぶら下げながら歩く。多分その場にいた誰よりもニヤついた顔で。

 

――――気付いたら女は消えていた。言わば立つ鳥跡を濁さず。

「やべぇ、ワンチャン盗まれた!?」と確認するも綺麗に自分の荷物だけ持ち帰ったらしい。良い奴だ、ありがとう。ここ数年一番笑った朝だったような気がする。

 

家に帰り朝食、掃除を済ませる。適当なものをリュックに詰め込み、ふらっと宛先もなくバイクに跨りエンジンをかける。

 

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最近ツーリングネットを買った。何の罪を犯したんだというくらいギッチギチに括りつけられたリュックに申し訳なさを感じながら、とりあえず海に行くことにした。

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「あっついなぁ、、、」

セミさえ鳴いていないものの、鳴けばもう夏なんじゃないかと思わせるようなギラギラした太陽の下でバイクを走らせる。自己中心的な太陽の日差しと車のエンジン音と陽炎。こういうときにチラッとCO₂と地球温暖化が垣間見える。

 

街の喧騒を知らぬ静かな田園風景にバイクを止め、休憩する。

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「やっぱこういうとこで畑耕して、昼から酒かっくらいたいなぁ」

闘争心や競争心は皆無。肉より草食。集団よりぼっち。時折聞こえる鳥の鳴き声に耳を傾ける。

 

元バイト先の仲良かった奴が先月就職したらしい。らしいというのもTwitterで知ったんだけども。いつの日かサシで飲んだ時に「明日が来るのが怖い」と伏し目がちに呟きながら、グラスを持つ同い年のフリーターを見て何も言えなかった。というより何も言う気がなかった。自分が体験したことない気持ちや境遇に中途半端な優しさや言葉をかけるほど残酷なものはないから、ただただビールを飲んでいた。無関心が一周回ってある意味相手にとっては楽で優しいんじゃないかと思う。あいつほど綺麗で優しい目をした奴を今まで見たことがなくて、コイツの水晶体で平泳ぎしたら気持ちいいんだろうなとしきりに思っていた。まぁ幸せになってくれ。

 

 

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胸の高鳴りに比例するスピードに身体を委ねながら、景色が広がっていく。気付いたら着いていた。行き先も決めずにただ先端に向かってたからどこに着いたんだよって話だけど。

 

 

13:00 奥松島 大浜海岸

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「いや、夏ここにあったww

綺麗すぎる。お盆に田舎に住む祖父母の家に遊びにいったものの、特にすることもなくぶらついたらひっそりいい景色があったみたいな。

 

 

この前硬貨の落ちた音を聞いて100円を拾い、気付かずスタコラと歩くおばあちゃんを追いかけたかいがあってか、生まれて初めてここで自動販売機のルーレットが当たった。

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最近自動販売機で驚いたことがあって、位置情報とBluetoothONにして特定の自販機に近付くとスマホと繋がりスマホ決済が出来ることを知った。マジで近未来。

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適当な堤防に座り、ちらほらいる同業者を横目にのんびりと釣りの準備をする。

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ウキ釣り、投げ釣りと2時間粘る。没頭。

自分の在るべき場所を考えたりした。俺はFF9のジタンのように帰るべきところといるべき場所をここ数年ふらふらと探し求めている。

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結局手前に生えていたのであろうわかめ?が大量に取れた。

別に釣れなくても楽しいのが釣りだ。竿を見てる時間と空や海を見てる時間、どっちが多いのか自分に問いたとしたら間違いなく後者だと思う。

 

15:30 稲ヶ﨑公園

バイクに跨り、近くの稲ヶ﨑公園に向かう。入り組んでいて車なら入れないなぁと感じるような道を進みバイクを止める。バイクはチャリをちょいと止めるように、道の端に止めることが出来るため非常に楽だ。

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木漏れ日を浴びながら進んでいく。ふとした涼しさが身体を包む。ひょっとしたらこれを抜けた先には、別世界が広がっていたりタイムスリップするんじゃないかと思わせるような雰囲気を感じていた。

 

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去年の夏、学生最後の夏に地元の市民プールで短期バイトをした。同じバイトの子たちは地元のプールのため知っている中学校、高校卒業者しかおらず自然と仲良くなるようなワイワイとした雰囲気だった。成人式にも出ず、県外の大学に通っていた薄情のものの自分は少しだけだけど、学生最後の夏に地元に戻れた気がして嬉しかった。今も結局地元にはいないし。体にひたつく服と母親の自転車をこぎながらガァー――ッと坂を下ったときに見た、無限に広がる入道雲はあと2~3年は忘れないと思う。夕立ちとともに香るあのむわっとしたアスファルトの匂いも。

 

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着いた先には夏が広がっていた。友達とキャンプをした自然溢れる夏、お盆に帰省した古臭い夏、元カノと見た爽やかな夏、バンド合宿で抜け出して見た夏空、泊まり込みで模型を作製した熱帯夜。色々な夏を思い出して黄昏る。

 

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人を信じていないようで、心のどこかでは信じているので人のために何かをしたい。このブログでも新たに始めたyoutubeでもインスタでも音楽を始めた理由も誰かの何かになってほしいという思いからきている。通学通勤のわずか3~4分で1日の気分を変えてしまうような可能性をエンタメは秘めているので、他人ならまだしも自分の手の届く範囲の友達ぐらいは少しばかり救いたいと思う。いつかは必然的に会えなくなるので、だからこそ続けるモチベーションになっているところがある。まぁぶっちゃけyoutubeの編集もブログも後半だれることが多いんだけど。

 

そのあとはバイクに戻り、家に帰った。

 

基本家には、飯を食べるときか寝るときしかいないので夕飯を済ませたあとは散歩。

 

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このアングルの写真のようなポージングも何回撮ったんだろう。

 

 

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スウェットに七部袖で徘徊し「エモい」と表現されそうな夜を何度も過ごしている。

SNSにわざわざ無言で投稿するようなキャラじゃないので、缶コーヒーを飲み終えて家に帰って寝た。

 

BGMHakubimirror

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「明日が来るのが怖くて何も手につかず横になったら 朝になってた もう何度目か 何度目なんだよ」

 

おしまい。

 

 

最後に、映像で楽しみたい方はこちらへどうぞ。

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