前回
2020 10/05-10 北海道一人旅② - 気ままな旅行記
5日目
起床。とうとう明日でこの旅も終わりか…と少ししんみり。
しかし毎日約150km先に移動しての最低限の宿,最小限の食事(ケチなので)を繰り返していたため、若干帰りたくなる気持ちも芽生えていた。ストレスはあんまなかったけど「家の布団でがっつり寝てぇ」って思ってた。やっぱり実家は偉大だ。
ロッキーも今日返す予定。さすがにこれだけ長く借りると愛着が沸いていた。
ロッキーには車線をはみ出したら自動でハンドルが固まり元の車線に戻ろうとする機能が備わっており、ぶっちゃけ障害物や工事現場を避ける際にも戻ろうとして殺しにきてた場面が多々あった。最初はそのたびに「おい!ざけんなオンボロ!」と暴言を吐いてたものだったが終わりが近づくとそんな機能も不思議と愛しかった。
今日の予定は知床から網走へ。そして女満別空港付近のレンタカー店に行くプラン。
クルーズ船に乗る予定時間が14:00からとなっていたため、道の駅と海沿いを散策して時間を潰す。
知床の観光目玉としてクルーズ船に乗り知床の先端まで行くことが出来るのだが、前述にも記した通りこの散策中に連絡が来て高波と強風のため中止になってしまった。
「しょうがない」と切り替え網走に向かう。散策中にクルーズ船運航中止のプランは考えていたためスムーズに移動できた。
さらにこの時点で神奈川に台風が近づき帰れるか疑問だったため、もしもの1泊予定の宿や観光名所,便の振り替えなどもピックアップしていた。そして半分路頭に迷うことも期待してた。
海沿いをひたすら走り、原生花園駅付近に休憩所があったため寄る。
湿地帯を見てそのあとはオホーツク海の海岸線で黄昏ていた。
オホーツク海は荒れてたのもあったけど怖かった。冷たそうだし暗そう。
そして自分のいるところが北海道のてっぺんから右ウェーブ上だから「ガチオホーツクやん」とか思っていた。
売店のおばちゃんたちは平日だからかコロナの影響だからか暇していて談笑してた。
そんな雰囲気のなか入るのも少し気まずかったが、入ると「兄ちゃん、もうすぐアイスクリーム出来るで!」と話しかけられ少し世間話をした。地方でのんびり暮らすのも悪くないなと思った。
袋を抱え近くのベンチでつぶ貝とホタテの串焼きを食べた(結局アイスクリームは買わなかった)。オホーツク海で育つ貝類は寒さに耐えるために大きくて栄養をたくさん含んでいると聞くけど、ここで食べたものも大きくて美味しかった。
車を走らせ、オホーツク流氷館に到着。
ここでは本物の流氷に触れたり、オホーツク海のことを学べるんだと。
冬にはオホーツク海が流氷で覆われるらしいが、これは海が地形的に閉ざされた空間にありそこにシベリアからの冷たい風があたることによって凍る?らしい。
そして流氷に触れるコーナーでは、入口の分厚いドアの先はなんと-15℃。実際に入ると流氷の世界を感じることが出来た。
最初に厚手のコートと濡れたタオルを受け取りなかへ。-15℃ともなると吸う空気が鮮明で研ぎ澄まされてるっていう感じ。常温が丸だとすると-15℃は三角で尖ってるみたいな。
そしてもらった濡れタオルをひたすらに振る。すると徐々に愉快になってきて、必死にタオルを振ってる自分にジワジワ来てしまい声を出して笑ってしまった。幸い誰もいなくて助かった。いい施設だ。タオルは逆立ちを決めた。
退館。ロッキーに乗り込み宿へ向かう。
宿で先にチェックインを済ませ荷物を置き、レンタカー店へ。ロッキーとの最後の別れ。
「んー、特に目立った傷もないので大丈夫ですよ。ありがとうございました。こちらを一読していただいてよろしければサインをお願いします。」と慣れた声で言われボールペンを受け取る...
このとき俺は帰りの宿までの電車が2時間に1本しかないようなものだったので、正直そっちに意識がありもうロッキーのことはなんとも思ってなかった。内心で「あざ!」みたいな。
この駅は女満別空港という空港の最寄り駅であるのにも関わらず一日の利用者が4.8人ほどらしい。
確かに「えっ、地図森に入ってくんだけど..............これか...?」みたいな流れで見つけた。
「秒速5センチメートルでこんな駅舎見たな...」なかに入るとどこか懐かしい香り。
ノートを見つけた...どうやら利用者たちが待つときに記載していったものらしい。
書き込みが約3日ごとなのがリアルで、自分も書こうと思い結局5~6行も書いてしまった。
電車に無事乗り、宿へ。就寝。
6日目
とうとう旅最終日。とはいえ帰るだけだけど。
朝一のスマホによると、どうやら飛行機は無事飛ぶらしい。
「俺がいないうち、神奈川大丈夫だったかな...」と誰目線なのか分からないが缶コーヒーを啜りながら電車を待ち、昨日と逆のルートを辿って空港に着く。この日も晴れていて旅中はほんとに天気には恵まれた。
空港に着き最後の土産コーナー。
じゃがポックル、名物酒、赤いサイロやらなんやら買っているとあるものが目につく。
「じゃがいも10kg...送料無料......??? 送るしかねぇだろうが!!!」
こういうノリが大好きなので即(3秒)友達にサプライズという名のテロを企てレジに向かう。
.......が一応常識人なので10kgはやめて5kgにしておいた。こんなやさしさがいつか日の目に当たることを心から信じてる。
普通の人なら「えっ、いらないんだけど」とマジトーンで言うところを「マジ!?笑」と笑ってくれるバグった友達せんきゅー。
フライト。無事羽田空港に着き最寄駅へ。
久々のまともな飯と自分のベッドで泥のように眠ったとさ。おしまい。
後日談・感想
全体の感想は「やりきった」という謎の充実感。ただそれだけ。
泊まりで一人旅は栃木,愛知,広島そしてこの間の新潟と行ってきたけど、最初の頃は「宿の予約の仕方も分からない」から始まりさらに観光地の関連性が分からず思ったより距離があったりしてグダることも多かった。
そこから少しずつ宿を選べるようになり普通の電車から新幹線・飛行機を覚え今では現地でレンタカーを借りるように。
そういった背景から今回は「5泊6日走行距離960km北海道横断一人旅」をかましたけど、一番最初の栃木(大1の頃)と比べると自分で実感するほど成長したなって思った。
そして、バイト先に持って行った土産が速攻で食われてなくなったことに驚きと土産を買うときに渡す人たちがちゃんと浮かぶってのが個人的にグッときた。喜んでもらえたし。じゃがいもも。
レンタカーに対して「車」って書いてるときはただの移動手段として見てるし、「ロッキー」って書いてるときは自分が旅の友として親しみを込めてます。
あと小学校の国語の読解でよくある「このときの人物の気持ちを景色や描写で表しているところを○○字で書き抜きなさい」みたいなのを意識して書いた箇所もあったりなかったり。
最近書き始めたばかりだけど文章化して書き連ねることが素直に楽しい。
なんだかんだ生きていると思ってはいるけどそれをピンポイントで言葉にしようとすると上手い言葉が出てこなかったり、範囲の大きい言葉が多すぎて伝わらなかったりして難しさを感じつつある。感情に数値がそもそもないし基準が人それぞれ違うし。
こう語りだすと止まらなくなってしまうので終わりで。
ご愛読ありがとうございました。